潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起こって、びらん(ただれ)や潰瘍ができる病気です。原因不明の難病ですが、白血球から炎症に関わるさまざまな物質が放出されていることは分かっています。20歳前後の若年層、また働き盛りの年代に多く発症します。白血球除去療法(GCAP療法)は、この炎症に関わる白血球を取り除くことで、炎症を鎮め症状を改善する治療法です。この治療法は、すでに血便や発熱が頻回にみられる方や、ステロイド剤が効きにくい「難治性」の患者さまに保険適用されています。
吉祥寺あさひ病院では、血液透析を中心とする血液浄化療法で培った経験を生かし、医師・看護師・臨床工学技士のスペシャリストが、チーム医療で白血球除去療法(GCAP療法)を施行しています。
肘の静脈に針を刺して連続的に血液を取り出し、カラム(白血球除去器)に通します。ここで、炎症に関わる一部の白血球(リンパ球・単球・顆粒球)が取り除かれ、浄化した血液を再び静脈へ戻します。
1回の治療は約1時間かけて行い、1.8Lの血液を処理します。治療中にトイレに行くことも可能です。スタッフに声をかけて頂ければ、治療の一時中断をすることは容易に行えます。静脈に針を刺す際の痛みは、事前に局所麻酔用のテープを貼ることで軽減されます。
週に1回の頻度で、5~10回繰り返しますが、外来の通院で受けることができます。血液中の白血球は、体の中(主に骨髄)で再びつくられるので、治療中一時的に数が少なくなっても、治療後は速やかに正常な数まで戻ります。血液を体の外に出すため、血液の凝固を防ぐお薬を用います。
治療効果は、潰瘍性大腸炎の主な症状である「血便」「腹痛」などの改善や、内視鏡所見である「潰瘍」の改善などが見られます。現在まで当院で行った方の60~80%の方に良い効果がみられています。副作用は比較的少なく、まれに頭痛、腹痛、発熱がみられることがありますが、大部分は一時的なものなので、ご心配ありません。