腎移植とは腎臓の機能が低下した人のために、ドナーより頂いた腎臓を手術で移植することによって腎臓の機能を回復させる治療法です。
腎機能が低下した場合の治療法には、大きく分けて血液透析、腹膜透析と腎移植があります。血液透析と腹膜透析は、時間的、社会的制約が大きく、慢性腎不全・尿毒症は治りません。
それに対し腎移植後は腎臓の機能のほとんどを回復することが可能です。水分や食事制限も緩和され、通院する回数も減少します。
尿毒症の症状が改善されるために全身状態が良くなり、透析治療と比べると生活の質が大幅に改善され、約90%の腎移植患者は社会復帰されています。
また女性は妊娠、出産が安全にできるようになります。
提供された腎臓が自分の体に移植されると、異物として体が反応し、排除しようとします。免疫機能が働きだすため、この免疫機能を抑えるために生涯を通じて免疫抑制剤の内服を要します。
免疫抑制剤による副作用の出現や拒絶反応・感染症などの合併症の可能性もあります。
また、移植した腎臓が一生機能するとは限りません。移植した腎臓の機能が低下して透析に戻ることもあります。
移植された腎臓が失われる一番多い理由は慢性拒絶反応で、次いで急性拒絶反応が続きます。また、一部に服薬を怠ったことによるものがあります。
しかし最近の腎移植の成績は良好になり、5年生着率(透析にもどらない率)は生体腎で95%、死体腎で88%と年々良くなっています。
近年では、上記の拒絶反応に加えて、加齢・高血圧・高脂血症などが、重なり合って起こる慢性移植腎障害の重要性が指摘されています。
当科では、免疫抑制薬の投与量を調節しながら、拒絶反応、感染症、生活習慣の是正、および合併症管理を行います。