これまでの慢性腎臓病(CKD)の治療は、腎不全末期(血液透析導入)にならないよう阻止することが第一の目的とされていました。
しかし近年の多くの科学的根拠から、実は腎不全のため血液透析治療に至る患者さまより、その前に心血管病で死亡される方がはるかに多いことが明らかになりました。したがって腎臓病の早期発見、そして積極的に治療、管理に取り組むことが生命予後の改善に繋がるということが再認識されてきました。
当院では腎臓病対策として、腎臓病専門医のみではなく糖尿病内科、循環器内科の医師また生活・栄養指導については看護師、管理栄養士、ソーシャルワーカーが常に携わり総合的管理を行い、それぞれの患者さまの腎機能の程度に応じた治療、管理、指導を密に行っています。
糖尿病については血糖、血圧を改善させることで血液透析導入に至る例が減少したという米国の報告(わが国では透析導入疾患一位でさらに増加傾向)もあります。大部分を占める2型糖尿病を進行させないことこそが課題となっております。当院では初期の食事療法のみの治療から、さまざまな合併症、腎不全合併例まで個々の患者さまの生活状況に応じた治療を行います。いかにして患者さまが正しい理解のもとに自己管理されるかに重点を置いています。
腎不全が進行していく段階で血液浄化療法(血液透析、CAPD、腎移植)について説明し選択をしていただきます。適切な時期でのバスキュラーアクセス作製、CAPDカテーテル埋め込み術を行います。外来にて透析導入する場合もあり、早期の社会復帰を目指しています。当院は総合病院ではありませんが、特長を生かしながら他の医療機関との良い連携を図っていきたいと考えております。